草食系男子との3年間①:不思議な出会い ~ななお篇~

こんにちは、ななおです。

しげちゃんが私たち二人の話をストーリー仕立てにして連載し始めましたね。でも実は、一番最初に「小説風にしたい!」って言ったのは私の方なんですよ~!

だからしげちゃんに負けないように私も書いていこうと思います!笑

それぞれがそれぞれの視点から描いていくので、二人の当時の関係性や心理変化などがより分かるのではないかなと思います。

私たちも気が向くときに気の向くままに書いていくので、暇なときにのんびり読んでくださると嬉しいです♪

 

では、さっそくスタート!

目次はこちら

 

不思議な出会い

 

長く続く道路の上に、無数の花びらが泥にまみれて散り落ちている。昨夜までの雨のせいで満開の桜が随分散ってしまったのだ。

そんな花びらなど気にも留めないように、無数の靴が無慈悲に、しかし軽やかに花びらを踏みつけて歩く。そこは何百という数の学生であふれていた。

 

新入生を迎えたばかりの大学は、散りかけの桜に反比例するように一斉に活気づく。

ここは「花見」という名の新入生勧誘の戦場だ。大学に所属するほぼ全てのサークルや部活がこぞって陣を張り、中央の道路を通る新入生を獲得しようと奮闘する。

 

「テニス!どうですか?!初心者大歓迎!!」

「長唄サークル、興味ないですか?うちはインカレなんで、楽しいですよ」

「軽音サークルです!楽器できなくても大丈夫!」

 

威勢の良い勧誘の言葉を全身に浴びながら、持ちきれないほどのチラシを抱えて人混みの中を縫うように歩く。異様な歓迎ムードも二日目にもなるといい加減うんざりしてくる頃だ。

 

「チア部です!お話しだけでもどうですか?!」

 

進行方向を塞ぐように現れた2人の女子学生を「あ、チラシもらったんで・・・」とかわしながらさらに数歩進んだところで、

 

「おっ、昨日会った子!覚えてる?!」

 

と、高い位置から声がかかる。

よく通るその声に顔を上げると、さわやかな笑顔の男子学生がニコニコしながらこちらを見ている。紺色の道着袴の上にツヤのある胴と「島田」と書かれた垂れをつけている。昨日の花見で言葉を交わした剣道部の先輩だ。

 

「あ、はい、まあ」

 

さっと視線を逸らしながらボソボソと答えると、先輩の方が少し慌てた様子で、

 

「や、全然しつこくする気とかないから安心して!ただほら、もしまた剣道やりたくなったら俺らはほんとウェルカムだから、なっ?」

 

そう言って島田先輩が後ろを振り返った先には、「藤枝」の垂れの男子学生がさり気なくたたずんでいた。島田先輩の存在感のせいで、彼の存在にはほとんど気が付かなかった。

 

「うん、そうそう、歓迎」

 

藤枝さんは急に振られた言葉にとってつけたように頷くが、視線は斜め下を向いている。

新入生である私の方を見ようともしない。

 

そのときふっと、藤枝さんを見ている私のお腹の奥底で、何かがザワっと動いた気がした。

けれどもそれは本当にさりげなくて、とても意識を集中させなければ見落としてしまいそうなほどの「何か」だった。今振り返ってもこんな感覚になったのは、この時だけだ。

 

「あっ、俺ら人数は少ないんだけどさ、それなりに強い奴もいたりするんだよ。こいつとか、去年初出場で大会三位」

 

そういう島田さんの言葉に「へぇ」と少し興味をそそられて改めて藤枝さんを見る。どちらかと言えば小柄だが、剣道部らしい黒髪の短髪で太めの眉毛が男らしさを出している。

 

「いやいや、まぁ、大したことないから」

 

相変わらず斜め下を見ながら藤枝さんが謙遜する。

本当にどれだけ顔を凝視しても視線が合わない。同期の影に隠れて新入生と目も合わせられないこの人が強いのか。まぁ、剣道バカってこともあり得るしな。

 

そんなことを考えていたら、さっきお腹の底で動いた「何か」は、ほとんどどこかに行ってしまっていた。きっと何かの気のせいだったのだ。深く考えず、そのときはそう流してしまった。

 

「そうですか、すごいですね」

 

視線を上げて島田さんに視線を戻すと、無理強いはしないから飲み会の案内だけさせてというので連絡先を教え、笑顔の島田さんと、その付き添いみたいな藤枝さんと別れた。

 

 

 

 

その30分後、他に行くあてもなかった私は、剣道部のブースにいた。

 

「どんなメジャーに興味あるの?」

※メジャー=専攻のこと。私たちの大学ではこのように呼んでいました。

 

島田さんの質問に、う~ん、と悩みながらも答える。

 

「今は国際関係とか、興味ありますね、やっぱり世界に出たいというか」

 

その時の私は新入生ならではのワクワクした高揚感に包まれていた。

しかしその瞬間、藤枝さんが相変わらず斜め下を向いたままで、さらりと言った。

 

「あぁ、最初はみんなそう言うんだよね。んで、入ってしばらくすると大部分の人が変えてくから、どうせ」

 

はっとして藤枝さんを見る。このとき、入学早々期待感や高揚感を正面から砕かれたようで、妙にムカッとしたことを覚えている。そして、この人は空気が読めない人なんだなと思ったことも覚えている。

 

「まぁまぁまぁ!いろんな授業取って悩んだらいいと思うよ!」

 

そんな私たちの空気を察し、とても気のつく島田先輩が話題を変えてくれた。

 

その後は本当にくだらない話や教授の噂話などをし、私は結構長い間剣道部のブースにいた。なんだかんだ、この部活の雰囲気が気に入っていたのだと思う。

 

その後しばらくして、私はこの部活に入部することになるのだった。

 

つづく(2話:ウワサの先輩)

 

以上、第1話でした!

この話ではいかにしげちゃん(藤枝さん)がコミュ障だったかが分かると思います!笑

女子慣れしていない草食系男子なんてみんなこんなもんですよ!お目当ての草食系男子がコミュ障だったとしても大丈夫です。めげずに頑張りましょう!

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