草食系男子との3年間㊽:綱渡り ~ななお篇~

 

こんにちは、ななおです。

前回はこちら、47話:男の眼から。

目次はこちらから。

 

綱渡り

 

 

『マサトって絶対女性慣れしてるよね、すごいと思う笑』

 

『そんなことないって、ほんと。俺チャラかった?』

 

『チャラくはないけど、慣れてるなあとは思ったよ』

 

『マジかー、俺の評価今日のデートでめっちゃ下がってない?大丈夫?』

 

デートを終えてからの帰りの電車でも、マサトとのラインが途切れることはなかった。

 

『大丈夫大丈夫、でも結構女の子とも遊んでるのかなとは思ったよ』

 

マサトをからかってみようと思っていじわるなラインを送ったつもりだった。すると、

 

『あーまぁ確かに、女友達と遊びにいくことはよくあるなぁ』

 

そんなマサトからの返信が私の胸をチクリと刺した。普通に考えたら、あれだけなんでもそろっているマサトが女の子と出かける機会に困らないのは当たり前すぎることだろう。けれどこの時はやはり、少しでも私のことを特別だと言って欲しかったのだ。ただの女友達ではないからこそ、2人で出掛けたのだと思いたかった。

 

『え、それって、私もただの女友達ってこと?』

 

自分の感情や欲求に素直すぎるところは私の長所でもあるが、きっと恋愛の駆け引きにおいてそれは短所にしか働かないのだろう。送ってから、改めてそのことをはっきりと認識した。

 

『それは、まだ一回しか遊んでないんだから、分からないよ』

 

返ってきたマサトの言葉は、わずかに私から距離を置こうとしているように見えた。一言で言えば、きっと少し、引かれたのだ。

 

『まぁ、そうか、そりゃあそうだよね』

 

これ以上マサトとの間の温度差を広げてはいけないと察した私はすぐに折れることにした。

 

『いや、いいよ、とりあえず来週にでもまたご飯行こうか』

 

『うん、そうしよ、また来週の授業のあとの時間空けておくね』

 

大丈夫、私とマサトはまだまだこれからだ。そう思ってふぅと肩を撫でおろしたのだった。

 

つづく(49話:真夜中の会話

 

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