こんにちは、ななおです。
前回はこちら、55話:クリスマスデートから。
目次はこちらから。
8年後の未来
クリスマスデートの後、私たちは毎日ラインでやり取りをするようになっていた。
朝に弱い私のために、毎朝しげきがモーニングコールをし始めてくれたのもこの頃だ。
年末の大掃除をしていたその日も、携帯を片手に持ってしげきとやりとりをしていた。
『掃除してたら、10歳の俺が書いた生意気な手紙が出てきたw』
クイックルワイパーを動かしていた手を止めて液晶画面の文字を見、フッと笑みを浮かべる。
『なんて書いてあるの?w』
『一生懸命生きているか?後悔することがないようにちゃんと生きろよ!だってさ』
随分大人びたことを書く10歳だ。今のしげきからイメージするのは難しいくらい。
『すっごいしっかりした10歳じゃん(笑)10年後の自分にまた手紙書いてみたら?w』
『そしたら、ななおも一緒に書こう。そんで、ななおの30歳の誕生日を過ぎたら一緒に開けよう』
「えっ」
まさか自分も誘われるとは思わなかった。自分が人生においてタイムカプセルをするイメージなんて全然なかったから、その誘いに一瞬戸惑った。
けれど、「ななおの30歳の誕生日を過ぎたら一緒に開けよう」という文字を見ていたら、自然にやりたくなってきた。
今私たちは22歳だから、8年後の自分への手紙ということになる。
8年前の自分は中学二年生だった。じゃあ、8年後の自分は?
そんな先に、一体自分がどこにいてどうなっているかなんて全然分からない。けれどもしげきは、そんな先の未来でも私と一緒にいられると思っている。
そこにどんな意味が込められているのかまでは分からないけど、少なくともしげきは、大学を卒業しても私と仲良くし続ける気があるらしい。
なら、その気持ちを汲まないわけにはいかない気もする。
そんな、ちょっと上から目線の考え事をしたあと、
『いいね、面白そう』
そう返信した。
そして私たちは年が明けた一月中にタイムカプセルを埋めることに決めたのだった。
ほんの一か月前まではデートに行くことすらできなかったのに、今では自然に毎日やり取りをして、しげきとの予定が勝手に出来上がっていく。毎日新たに更新されるやり取りの履歴が、急に変わった環境の変化が嘘ではないのだと、私に教えてくれる。
私、こんなにしげきと仲良かったっけ??
そう思いながら画面を見つめては、幸せな、そして不思議な気持ちになるのだった。
つづく(57話:二番目同士)
タイムカプセル、恥ずかしいですが、なんか青春って感じですね(笑)
私を誘ったしげちゃんが深いことを考えずに自然に誘っていたっていうのが、また面白いところです。
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私は冴えないアニメオタクでしたが、現在は一途で誠実な彼氏がいます。彼はイケメンの部類ですが、浮気の心配や不誠実さは皆無で、徹底的に一途な人です。
どのくらい一途かというと、週末ななおに会いに来るために新幹線の回数券を買ってくれているくらいです。(現在は、東京―京都間での遠距離恋愛をしています)
そんなことを言うと、ななおは元々見た目が良かったんでしょとか、オタクといいながら実は結構モテてたんでしょ、と思うかもしれません。
しかし実際は、20歳くらいまでメイクやファッションのことは何も知らず、好きだった人に「ブス」などと言われるような人間でした。さらにいうと、彼氏とは今でこそ恋人同士ですが、そうなる前に2度振られた経験もあります。
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