こんにちは、ななおです。
前回はこちら、65話:急な誘いから。
目次はこちらから。
始まり
チョコレートドーナッツとラズベリードーナッツを挟んでテラス席に座ると、私達は写真を撮ったり、冗談を言い合ったりして過ごしていた。
ドーナッツも食べ終わった私たちがひと段落したころ、急に背筋を正してしげきが言った。
「あのさ、今日はプレゼントがあるんだよね」
まっすぐに私を見ながら言ったしげきを驚いて見返し、
「え、そうなの?」
と返す。するとしげきは
「ホワイトデーのお返し!」
といい、鞄から可愛らしいプレゼントを取り出してくれた。
あぁ~、ホワイトデーか、なるほどね。
と、すんなり受け入れた私がプレゼントを受け取ると、「実は手紙もつけてあるんだよね」としげきが被せるように言った。
確かにプレゼントの袋の中には小さなメッセージカードもついていて、私はそれを取り出すと、
「今読んでいい?」
と言った。
するとしげきは慌てたようにそれを制止し、また私の目をしっかり見据えながら言った。
「おれ、ななおのこと好きだよ。俺たち、付き合わない?」
ななおのこと好きだよ。付き合わない?
その言葉がはっきりと聞こえ、そしてしげきはまだしっかりと私の目を見つめていた。
その顔は冗談を言っている顔ではなく、覚悟を決めたような顔に見えた。
本気で言っているんだな。
そう感じた私は、思わず口元がほころぶのを上手く抑えられないまま、
「うん、いいよ」
と言った。
その瞬間、しげきの顔がぱぁっと明るい笑顔になる。
そして私もなんだか照れくさい気持ちになった。
駅までの帰り道、しげきはずっと嬉しそうな笑顔のままで、私はそんなしげきの顔をちょっと恥ずかしい気持ちで眺めていた。
しげきと付き合うこと。
それがどんな感じなのか、私達2人の未来がいったいどんなものになるのか、全く想像がつかないまま、ただただ「しげきと付き合うことになった」というその瞬間にまさに私はいたのだった。
三月に入ったばかりのある晴れた日の午後、私としげきはやっと最初の一歩を踏み出した。
それは、4月の桜並木の下で初めてしげきと会ってから、まさに約3年後の出来事だった。
終わり
ここまでお読みくださった皆様、本当にありがとうございました!
これにて一応私たちの三年間のストーリーは終わりになりますが、この後の話も今後ぼちぼち書いていくつもりですので、お暇なときにでも覗きに来てくださると幸いです^^
今まで本当にありがとうございました!
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私は冴えないアニメオタクでしたが、現在は一途で誠実な彼氏がいます。彼はイケメンの部類ですが、浮気の心配や不誠実さは皆無で、徹底的に一途な人です。
どのくらい一途かというと、週末ななおに会いに来るために新幹線の回数券を買ってくれているくらいです。(現在は、東京―京都間での遠距離恋愛をしています)
そんなことを言うと、ななおは元々見た目が良かったんでしょとか、オタクといいながら実は結構モテてたんでしょ、と思うかもしれません。
しかし実際は、20歳くらいまでメイクやファッションのことは何も知らず、好きだった人に「ブス」などと言われるような人間でした。さらにいうと、彼氏とは今でこそ恋人同士ですが、そうなる前に2度振られた経験もあります。
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