草食系男子との3年間⑤:夢のお告げ ~ななお篇~

 

こんにちは、ななおです。

前回の話は 4話:初デート です。

目次はこちらから。

 

今回は5話です。どうぞ^^

 

夢のお告げ

 

その日、ガールズバーから帰ってきた私はとても上機嫌だった。

本当に楽しくて、とてもいい気分だった。

 

だから、その日あったことをとても詳細に日記に書き残した。

ほのかがどのくらい怒っていたかとか、しげきがどんな服装だったかとか、カフェでしげきがどんな話したとか。そんなとりとめのないことを何ページにもわたって書いてしまうくらい、とても楽しい一日だった。

 

そうして上機嫌なまま眠りにつき、気持ちよく眠ったその翌日のことだった。

 

 

朝目覚める前の、夢か現実か分からない狭間の時間。ぼんやりと起きているようで、でもまだ頭の中は夢の世界にいる、そんな不思議な時間。

 

 

幸せそうに笑うしげきの笑顔が大きく浮かんで、そして、消えた。

 

 

そこで私は目を覚ました。

頭の上にはぼやっとした実家の白い天井が見えて、でも、残像のようなしげきの笑顔がはっきりと私に笑いかけていた。

 

しばらくそのままぼんやりとし、徐々に頭が冴えてくると、「これは重症だ」と思った。そして、観念した。

 

それまで自分の中で見ないふりしてきた本当の気持ちが、全てさらけ出されてしまった。

 

 

私は、しげきのことを好きになっていた。

 

 

朝、まどろみの中で現れたしげきの笑顔が、はっきりとそのことを物語っていた。

 

しげきに初めて出会った日にお腹の奥のほうでザワついた何かを、このときやっと、はっきりと自覚することができるようになったのだった。

 

 

 

 

 

あっという間に7月が来た。

 

私たちの大学は三学期制で、夏休みが長い。

ほのかは夏休みを利用して、イギリスに夏季留学に行った。

 

私としげきが2人でガールズバーに行った後も、とくにほのかと仲が悪くなることもなく、それまで通りに過ごすことができていた。

 

私なら大丈夫だとほのかが考えたのか、ガールズバーならデートではないと考えたのか、それは分からなかったけれど。

 

 

一方の私は、ほのかに対する遠慮の気持ちはあったけれど、自分のしげきへの気持ちをこれ以上否定することもできずにいた。

 

だからその二つの気持ちにどう折り合いをつけるかで悩み、その結果、以下のように考えるようにした。

 

1つ、ほのかは“先輩としてのしげき”を追いかけているだけで、しげき本人を好きなわけではない。だからきっといつか気持ちが冷めるはず。それまではしげきとほのかの二人を陰ながら見守る。

2つ、万が一ほのかの気持ちが冷めず、私自身気持ちを押さえられなくなったら、最終的には私の気持ちをほのかにも伝える。

 

 

夏休み中ほのかはイギリスに留学してしまうから、とりあえずは友達としてしげきとの距離を縮めることを考えようと思った。

 

7月に入ってすぐ、しげきに連絡をした。

 

『ツンデレ喫茶、行ってみたくない?』

 

と。
出かける場所をあまりにもデートっぽくしてしまうとほのかに申し訳ないと思ったから、自分なりに「友達同士」の男女が行ってもおかしくない場所を選んだつもりだった。

 

以前から「ツンデレ」に興味があると言っていたしげきは、この時も『行こう!』と、すぐに快諾してくれたのだった。

 

こうして7月の半ばごろに、私たちの2回目のデート、「メイド喫茶、ツンデレ喫茶巡り」が開催されることになった。

 

 

つづく(6話:2回目のデート

 

以上、5話、でした。

あの日夢でしげきの笑顔が浮かんできたことは、今でもよく覚えています。
やっぱり表面上はどう取り繕っていようと、無意識をだますことはできないんだなあと思った瞬間でもありました。

それからガールズバーの次はメイド喫茶って・・・なかなかシュールなデートコースですが、これもまた全て実話です。変な2人ですみません(汗

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