草食系男子との3年間㉑:2度目の告白 ~ななお篇~

 

こんにちは、ななおです。

前回はこちら、20話:見えない糸から。

目次はこちらから。

 

2度目の告白

 

3月になった。大学は春休みに入っていた。

 

その日、自分が何を考えていたのか、詳しいことは思い出せない。

けれど確か、ふとしげきを遊びに誘いたくなったような気がする。

 

去年の9月にしげきに振られてから少しギクシャクした私達の関係も、

毎日のように顔を合わせ、一緒に帰り、同じ飲み会に参加しているうちに、また前のように自然に話すことができるようになっていた。

だからそんな時期に、少し遊びに誘うだけならいいだろう、と、そんな風に思ったのだと思う。

 

『今度遊びに行かない?』

 

軽い感じでしげきにラインを送った。

少しドキドキしていたかもしれないが、このあたりの心境もあまり覚えていない。

 

『部活後に皆で行かね?』

 

しばらくして、しげきからは素っ気ない返事が来た。

とはいえ以前に振った相手からの誘いなのだから、これが自然な反応でもあったとは思う。

けれどこの、さりげなく私を遠ざけるようなしげきの反応に、私は妙に引っかかってしまったのだった。そして、

 

『もしかして、警戒してる?w』

 

そう、しげきを追い詰めるようなラインを送った。すると、

 

『ちょっとねw てか俺、部長だし、後輩は平等に扱うべきだから、お前とだけ遊びに行くのは良くないと思う』

 

しげきからは、やはりやんわりとした拒否の返事が来る。

部活を理由にした拒否の仕方は、しげきなりの優しさだったのかもしれない。

けれど、私からしたらそれはとても中途半端な拒否の仕方で、「そうですか」とすんなり受け入れることが出来なかった。

 

『なんでそんな中途半端な拒否の仕方するの?』

 

と食い下がる私に、しげきは、「らちが明かないから電話をしよう」と提案してきた。

そして私たちは、そのまま30分くらい電話で話をした。

 

「部活を理由に拒否されるのは納得が行かない。もしも私が部活の後輩じゃなかったら、一緒に遊びに行っても良いということ?」

 

私がそう言うとしげきは、「その時にならないと分からない」とか、「多分断っていると思う」とか、はっきりしない答えを返してくるのだった。

その返事を聞いて、余計にイラついた私は、

 

「そんな返事じゃ余計に納得できない。どうして私ではダメなのか」

 

と言って、いつのまにか「遊びに行くこと」ではなく、「付き合うこと」について話題を変換させ、しげきを口説きにかかっていた。

 

本当は心の中では、しげきに私と遊びに行く気はなく、ましてや付き合う気なんて毛頭ないということは分かっていた。

だから、しげきの気持ちを変えるために駄々をこねていたわけではなかった。

 

そうではなくて、自分がしげきのことを諦める明確な理由が欲しかった。

 

なぜならしげきは”1番”の女性に振られてしまい、彼女との可能性が無くなってしまったからだ。だとしたら、それまで”2番”だった私に次のチャンスが巡って来ても良いではないか。

自分でもとても子供っぽい理屈だったと思う。

けれど、少しでもしげきと付き合える可能性があるならその可能性に懸けたかったし、もしダメなら、はっきりと全く望みがないくらいに拒否して欲しかった。

 

そんな気持ちは最初は自分の中でも自覚できていなかった。けれどしげきと話して感情が高ぶるにつれて、自分の中にもう一人の自分がいるように本音が溢れて来るのだった。そして、

 

「なぜ私ではいけないのか、納得できる理由を教えて欲しい。他の部員に迷惑をかけないように付き合うから、試しでも付き合うことはできないのか」

 

そうしげきに迫っていた。

しげきは最初こそ、

 

「部活の後輩だからダメだ」

 

などと繰り返し言っていたが、徐々に、

 

「好きでもない人と試しに付き合う気にはならない」

「きっと他に良い人が現れるから、俺のことは忘れてくれ」

「これ以上口説かれても意味はない」

 

など、はっきりした拒否の言葉をくれるようになった。

 

本来なら、そんな拒絶の言葉に傷つくのかもしれない。

けれどその時の私は、「やっと欲しい言葉がもらえた」というホッとした気持ちになることができたのだった。

 

30分間粘って口説き、そして徹底的な拒否の言葉をもらって電話を切ったあと、私はとてもすっきりしていた。

そしてこう思った。

 

「私と付き合わないというしげきの決意は固くて、簡単に覆すことはできない。私の良さに気が付けないバカは放っておくしかないから、もうこれ以上、遊びに誘ったり、私から動くようなことをすることはやめよう。」

 

そしてそう思った自分が、全くへこたれていない様子を見て、「強くなった」と実感することができた。

しげきに振られて人生に絶望した半年前の私と比べたら、今の私は本当に別人のようだった。

こうして、2度目の拒否の言葉をしっかりと受けとめた私は、すぐに前を向くことができたのだった。

 

つづく(22話:決意

 

この時は「告白」、なんていう可愛いものではなく、完全に口説いていましたね(笑) そして振られた後は、「私の良さに気が付かないなんてなんてバカなんだろう」などと思うことができるくらい、強くなっていました。

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