草食系男子との3年間㉕:嫌い ~ななお篇~

 

こんにちは、ななおです。

前回はこちら、24話:揉め事から。

目次はこちらから。

 

嫌い

 

幹部決めはその後も色々な話しあいがあったものの、
結局私たちの代からはそれまでの部長の仕事を二つの役職に分け、
日々の稽古に対して責任を負う「主将」と、事務書類やその他部活に関することの責任者としての「部長」を作ることにした。
そしてそれまで副部長が担当していた資金管理を、「会計」というポジションにした。

私は会計を担当することになったが、「金銭管理がしっかりできそう」などという理由ではなく、「そのくらいの雑用を任せるのに丁度いい人材だったから」という雰囲気で任せられた感じがあり、内心複雑な気持ちもあった。

 

一方、サヤカとりり子は二人とも「部長」を嫌がって「主将」をやりたがったから、少し揉めることになった。
確かに稽古で指揮を執る主将に対して、事務作業の多い部長はあまりかっこいいポジションではない。

しかしそうだとしても、「幹部などやりたくない」と言っていたサヤカが主将にこだわっていることに、少し違和感を感じた。
なんなら、最初から「主将をやりたい」と言っていたりり子の意思を尊重して、「辞退する」とでも言うかと思っていたのだ。

 

けれど最終的に、もう一度それぞれがしげきと面談をした結果、主将のポジションを得たのはサヤカの方だった。

 

これらの一連の流れの中で、しげきに対する私の不満はいよいよ大きくなっていた。
もともと私の部での存在意義を否定されたことでショックを受けていたことに加え、部長という責任ある立場であるにも関わらず、サヤカ一人を贔屓しているような様子が見えていたのだ。

私の前ではあれだけ
「部長として他の後輩と区別するわけにはいかない」などと言っておきながら、
部の飲み会でサヤカ一人にだけ特別に奢っていたり、部活後に2人で寄り道していることも知っていた。

だから、りり子ではなくサヤカが主将になったのも、しげきが裏で手を回したのではないかとすら思った。

 

そしてまたサヤカも「しげきさん、しげきさん」と懐いており、時々、どれだけ自分がしげきに可愛がられているかを、私やりり子に自慢するのだった。
そんなときのサヤカの態度は、とてつもなく私の神経を逆なでするものだった。

 

けれどサヤカの自慢話以上に、部のトップであるにも関わらず一人の後輩を贔屓して部の雰囲気を壊すしげきの行為の方が許せなかった。

そしてそんな不満が積もったせいか、些細なことでしげきと口論になったりして、
次第にしげきの顔を見ることすら嫌になっていた。
しげきの顔を見るだけで嫌な気持ちになったし、しげきの全てが気持ち悪いと思った。

だから、部活以外の場ではしげきを見ても見えないふりをしたし、できるだけ自分の世界にしげきを入れないようにしていた。

 

「好きだ」とか「付き合いたい」なんて気持ちはこれっぽっちもなくて、ただ「気持ち悪い」「目すら合わせたくない」という気持ちでいっぱいだった。

 

つづく(26話:池袋デート

 

この時期は本当にしげきのことが嫌いで、気持ち悪くて仕方ありませんでした(笑)

 

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