こんにちは、ななおです。
前回はこちら、37話:亮太の真実から。
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不信感
秋にりり子から、サヤカの主将としての態度を指摘されてから、私はサヤカの行動を少し意識してチェックするようになった。すると、初期のころには気が付かなかったサヤカの態度が少しずつ気になるようになった。
サヤカは明らかに主将としての責任感に欠けていた。そして、「幹部をしたくない」と言ったにも関わらず先輩に推薦された自分は特別なポジションにいるのだと、少し勘違いをしているようでもあった。
彼女は主将であるにも関わらず「バイトを入れた」といっては部活を休み、稽古以外の仕事は「私の仕事ではない」と言って協力する姿勢を見せなかった。
そしてまた、私とりり子に、
「なぜ私が主将をやっているのか、意味がわからない」
と、わざとらしい仕草と声音で繰り返し言うのだった。
けれどもそんな発言に反して、”主将” という肩書を気に入っていることだけははっきりと伝わっていたため、内心は
「私だけは他の同期と違って先輩に認められているのだから、少しくらい手を抜いても許されるはずだ。その分他の幹部が仕事をすればいい」
と考えていたのだろう。
そして秋が深まり冬になるにつれて、サヤカのこうした態度は加速度的に増していった。
毎年冬になると、私たちの部活は地方の会場まで遠征しにいく試合がある。その年は名古屋が試合会場で、私たちは前日から泊りがけで試合に参加する予定だった。
本来ならそうした宿の手配や新幹線の予約、参加者の管理などは部長であるりり子がやるはずなのだが、直前になってりり子がインフルエンザで倒れてしまった。仕方がないので、りり子のサポートをしていた私が参加者の管理や宿探し、当日の動きなどすべてを調べ、調整することになった。
どうにか準備を済ませて現地に行ったものの、慣れない土地ではやはり動きが取りづらい。一つ移動したり乗り換えするにもいちいち地図やネットで調べなくてはならず、ストレスになる。
しかも自分の後ろに10人以上重い荷物を持った部員がくっついてくるわけだから、下手に間違えるわけにも行かない。もちろん自分自身も重い防具と竹刀、旅行鞄を持っている。
正直この段階で、私はかなりフラストレーションがたまっており、直前になって休んでしまったりり子が羨ましく思えるほどだった。
そんな中ストレスの中、名古屋の駅で一人離れてスマホで位置確認をしていると、サヤカが隣にやってきた。そして、
「どうしてうちの部の男子って、誰も手伝ってくれないんだろうね?気が利かないと思わない?」
と言った。
サヤカの言っていることの意味がよく分からなかった。
確かに、少しでもいいから手伝ってくれたらいいのにと思うことは何度もあった。しかしそれは ”男子” ではなく、 ”主将” であるサヤカ自身に対してだった。
部で一番責任のある “主将” が他の部員と同じように私についてくるのは少しおかしい気がしたし、そもそも一番骨の折れる仕事を、なぜ ”会計” である私が全て一人で引き受けなければならないのか?それこそ「私の仕事ではない」のではないか?
そんなことが一瞬にして頭の中を駆け巡ったが、今はそんなことを言っている場合ではなかったし、そんな余裕もなかった。
「ちょっと一緒に調べてもらえる?」
サヤカにそう促し、正しい道を検索することが何よりも大切だった。
そんな名古屋遠征も何とか終わり無事に東京にたどり着くと、何人かの部員が、「ななおさんお疲れ様でした」と声をかけてくれたし、しげきも私達の様子をきちんと見てくれていることは分かっていた。
けれどもちろん、サヤカから声をかけられることは無かった。
私自身はくたびれ果てていたが、今回の旅行でサヤカに対する不信感が一気に大きくなっていた。
「サヤカは片手間で主将をしている気がする」
というりり子の言葉を思い返していた。
つづく(39話:話し合い)
亮太と別れてしばらく恋愛は良いやと思った私は、ひたすら部活に専念していました。そうでもなかったら、サヤカの代わりに頑張る、なんてこともできなかったかもしれません。
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私は冴えないアニメオタクでしたが、現在は一途で誠実な彼氏がいます。彼はイケメンの部類ですが、浮気の心配や不誠実さは皆無で、徹底的に一途な人です。
どのくらい一途かというと、週末ななおに会いに来るために新幹線の回数券を買ってくれているくらいです。(現在は、東京―京都間での遠距離恋愛をしています)
そんなことを言うと、ななおは元々見た目が良かったんでしょとか、オタクといいながら実は結構モテてたんでしょ、と思うかもしれません。
しかし実際は、20歳くらいまでメイクやファッションのことは何も知らず、好きだった人に「ブス」などと言われるような人間でした。さらにいうと、彼氏とは今でこそ恋人同士ですが、そうなる前に2度振られた経験もあります。
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