草食系男子との3年間㊻:急激な恋心 ~ななお篇~

 

こんにちは、ななおです。

前回はこちら、45話:マサトとの出会いから。

目次はこちらから。

 

急激な恋心

 

コーヒー事件があってから、私とマサトは頻繁に言葉を交わすようになった。

大教室ではマサトは先生の側にいるので話しかけにくい。けれどその分、遠くから視線を合わせて目線で会話をする感じがこそばゆく、けれどもそれが2人の秘密の合図のようで、楽しかった。

そのころの私はマサトに会うことが一番の楽しみになっていた。何か嫌なことがあっても、マサトと何気ない会話を交わすだけでいつのまにか元気になっていることもあった。

マサトの話はいつも知的で刺激的だった。私の知らない知識をたくさんもっていて、それを熱っぽく、けれども独りよがりにならないように話してくれる。
それを聞いているだけで彼の勉学に対する真剣な姿勢が垣間見えたし、そんな様子に自分自身のあり方を反省させられるのだった。

そしてまた彼は、私に対して正面から向き合ってくれているように感じた。

マサトは私と話すときはいつも慎重に言葉を選びながら、まっすぐに私の目を見て話す。そしてきちんとこちらの要望に応えているか、私の気分を害していないか、確認しながら話しているのが伝わってくるのだった。

 

そんな中、マサトと長い間ラインでやり取りをしていたある日、彼に食事に誘われた。

 

『俺と飯なんていってもしょうがないかもしれないけどさ』

 

自分から誘ったくせにそんな言葉を付け足して逃げ道を用意している様子も可愛く思え、快くそれに応じた。

私のマサトへの気持ちは、精神的なつながりや安心感で結びついたしげきへのそれとは異なっていて、新鮮だった。しげきへの愛情が薄まったわけではなかったけれど、それ以上に急激にマサトに引き付けられる気持ちが高まっていて、そしてそれが予想以上に心地よかった。

 

ほんのわずかな期間のうちに、私はあっという間にマサトに夢中になっていた。

 

つづく(47話:男の眼)

 

この頃は、しげきとは違うマサトの魅力に一気にハマっていきました。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください