草食系男子との3年間 58話:初めての体験 ~ななお篇~

 

こんにちは、ななおです。

前回はこちら、57話:二番目同士から。

目次はこちらから。

 

初めての体験

 

居酒屋を出るとマサトは近くのコンビニで飲み物を買い、ホテル街まで私を誘導した。私はというと、新宿によく来るとは言ってもそこは普段行かない場所だったので、妙に感心しながらその後をついていった。

 

「すごーい、ホテルってこんな感じなんだー!」

 

部屋に入ると自分の状況も忘れて、初めての体験に興奮気味に周囲を見回す。

私たちの部屋は柔らかな黄色がベースの可愛らしい部屋で、ドラマで見るようなギラギラ感とは程遠かった。そんな居心地の良い雰囲気に安心したこともあり、私は迷いなくベッドに飛び乗ると、正面にある大きなテレビのスイッチを押した。

 

「うわっすごい、いきなりヤバいやつ!」

 

噂には聞いていたものの、大画面に急に男女の絡みが写し出されたことに少々驚く。

 

「そりゃあラブホだもんな」

 

ベッドに上がりながら、マサトが軽く突っ込みを入れる。

 

「つーか、そんな真顔でAV見てんなよw」

 

いつのまにか真剣に画面に見入っていた私に再び突っ込みを入れると、マサトは、「俺たちも試してみようか?」といいながら私のセーターに手を伸ばす。

 

「わかったわかった、自分で脱ぐ」

 

慌てて手を払いのけながらそう言うと、タイツとスカート、セーターとインナーを順に脱ぎ、下着姿になる。不思議と、異性の前で下着姿になることにはあまり抵抗感がなかった。

隣で私と同じように下着姿になったマサトを見ると、股間の辺りが盛り上がっていて、また「すごーい」と言いながらしげしげと眺め、許可が下りたので直に触ってみると、初めての感触にまた「うわっ!」と声を上げる。

 

本当に子供のようだけれど、その時の私にとってそこは、大人の男女の色っぽい場所ではなく、子供たちの社会科見学の場に近かった。

そのせいか、後ろからマサトに抱きしめられたときも、ドキドキするとか色っぽい気持ちになるとかではなく、たんに肌同士のぬくもりが温かくて気持ちいいとしか思わなかった。

 

お風呂に入るために下着を脱いで裸になっても、私は平常心を保っていた。マサトが男性器の扱い方を教えてくれたときも、「ふんふん」と、まるで新入生が先輩から仕事を教わるかのように聞いていた。

お風呂から上がると、マサトに指示されるままに色々なことをしたり、されたりする。けれどマサトは以前にした約束をしっかりと覚えていて、私の中に男性器を入れようとすることは一度もなかった。

しばらくすると刺激を与えていた男性器から力が抜け、マサトが脱力した。それを見て私は、「これが射精か」と、一つ増えた経験値を冷静に認識していた。

 

その後も私たちはなんとなくベッドにいたけれども、再び何かしようという雰囲気になることもなく、大画面でバラエティー番組を見る時間が過ぎ、しばらくするとマサトはソファーに移動した。

 

「タバコ吸いてえなー」

 

下着姿のマサトが指でタバコを吸う仕草をする。

 

「えー、やだよ」

 

同じく下着姿でベッドにいる私は露骨に嫌な顔をする。

 

「じゃあお腹すいたからラーメン食べたい」

 

「ラーメン?私今お腹すいてないよ」

 

私の返事に不満そうな顔をしたマサトは、もうこれで終わりと見せつけるかのように服を着始めた。

時計を見ると、まだ入ってから一時間半くらいしか経っていない。けれどもマサトがもう外に出たがっていることは明らかだったし、私も「そんなものなのか」と、それに従った。

 

 

結局私たちはラーメン屋に寄ることもなく駅で別れ、その後、次第に連絡をとることも少なくなっていったのだった。

 

つづく(59話:落ち着く人

 

その後大学でマサトと言葉を交わすことは何度かありましたが、2人で出掛けたのはこれが最後でした。することをしたらお互いに興味が薄れてしまったのかもしれません。いずれにしても面白い経験だったなと思っています(笑)

 

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