草食系男子との3年間 66話:始まり ~ななお篇~

 

こんにちは、ななおです。

前回はこちら、65話:急な誘いから。

目次はこちらから。

 

始まり

 

チョコレートドーナッツとラズベリードーナッツを挟んでテラス席に座ると、私達は写真を撮ったり、冗談を言い合ったりして過ごしていた。

 

ドーナッツも食べ終わった私たちがひと段落したころ、急に背筋を正してしげきが言った。

 

「あのさ、今日はプレゼントがあるんだよね」

 

まっすぐに私を見ながら言ったしげきを驚いて見返し、

 

「え、そうなの?」

 

と返す。するとしげきは

 

「ホワイトデーのお返し!」

 

といい、鞄から可愛らしいプレゼントを取り出してくれた。

 

あぁ~、ホワイトデーか、なるほどね。

と、すんなり受け入れた私がプレゼントを受け取ると、「実は手紙もつけてあるんだよね」としげきが被せるように言った。

 

確かにプレゼントの袋の中には小さなメッセージカードもついていて、私はそれを取り出すと、

 

「今読んでいい?」

 

と言った。

 

するとしげきは慌てたようにそれを制止し、また私の目をしっかり見据えながら言った。

 

「おれ、ななおのこと好きだよ。俺たち、付き合わない?」

 

ななおのこと好きだよ。付き合わない?

 

その言葉がはっきりと聞こえ、そしてしげきはまだしっかりと私の目を見つめていた。

その顔は冗談を言っている顔ではなく、覚悟を決めたような顔に見えた。

 

本気で言っているんだな。

そう感じた私は、思わず口元がほころぶのを上手く抑えられないまま、

 

「うん、いいよ」

 

と言った。

 

その瞬間、しげきの顔がぱぁっと明るい笑顔になる。

そして私もなんだか照れくさい気持ちになった。

 

 

駅までの帰り道、しげきはずっと嬉しそうな笑顔のままで、私はそんなしげきの顔をちょっと恥ずかしい気持ちで眺めていた。

 

しげきと付き合うこと。

それがどんな感じなのか、私達2人の未来がいったいどんなものになるのか、全く想像がつかないまま、ただただ「しげきと付き合うことになった」というその瞬間にまさに私はいたのだった。

 

 

三月に入ったばかりのある晴れた日の午後、私としげきはやっと最初の一歩を踏み出した。

それは、4月の桜並木の下で初めてしげきと会ってから、まさに約3年後の出来事だった。

 

終わり

 

ここまでお読みくださった皆様、本当にありがとうございました!

これにて一応私たちの三年間のストーリーは終わりになりますが、この後の話も今後ぼちぼち書いていくつもりですので、お暇なときにでも覗きに来てくださると幸いです^^

今まで本当にありがとうございました!

 

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