こんにちは、ななおです。
前回はこちら、54話:ホテル行こうか?から。
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クリスマスデート
24日のお昼前、私としげちゃんは元町・中華街駅で待ち合わせをした。
最初は映画を観に行くだけの約束だったはずなのに、「せっかく街がきれいな時期なのだから、どこか楽しいところに行こう」と盛り上がって、横浜まで足をのばすことにしたのだった。
「お洒落なマダムがお買い物する街だよね」などと言いながら元町のお洒落な駅前を巡ったあと、中華街に行って食べ歩きをした。饅頭や点心などを、「熱い」とか「辛い」とか言いながら二人で分け合って食べた。
一通りお腹が膨れると、海岸沿いの公園を歩きながら赤レンガ近くの映画館に向い、目当ての映画を観た。
期待通り感動的な映画が終わり、じんわりとした余韻を残しながら館内が明るくなり始めた時、左隣のしげちゃんが一言、
「けつ痛ぇ」
と言った。
その言葉があまりにも今見た映画に似合わなくて、あまりにも空気の読めない発言だったから、思わず私は吹き出してしまった。
「なんで、今、それwww」
お腹を抱えて一通り笑いつくしながら、「やっぱりしげきといると理由もなく幸せな気持ちになれる」ということも実感していた。
日が暮れ始めた横浜の街に出ると、その日はとても綺麗な満月が東の空に浮かんでいた。
「すごい、今日満月なんだね」
なんてテンション高く言いながら赤レンガ倉庫に入る。外から見るとロマンチックにきらめいていた建物も、中に入ると活気にあふれた人々の熱気に包まれていた。
途中、子供たちにプレゼントを配るサンタに遭遇した時、子供のように目を輝かせながらサンタとハイタッチをしたしげちゃんと、子供ではない人に絡まれたサンタの困惑した表情が面白くて、また私は笑ってしまった。
横浜の街は本当にどこもキラキラしていて、どこを歩いてもクリスマス気分に浸ることができた。
夕食を食べに横浜駅に戻り、夕食後に腹ごなしをしようとビルの中を歩いていた時も、ビルの高い所から偶然見つけた小さな遊園地のキラキラ感に、2人して見とれてしまった。
そして結局、楽しそうな誘惑に負けた私たちは、その小さな遊園地ことコスモワールドに、遊びに行ったのだった。
「食べた直後だけど大丈夫かな?!」
などと、口先だけでいかにも心配、なんて風なことを言いながら乗り物に乗り込むと、それは席が前後になっていて、重力で2人の身体がくっつくような、まさにカップル向けの仕様になっていた。
しげちゃんの前に座った私は、できるだけ後ろのしげちゃんに体重をかけないように、くっつかないように体に力を入れながら乗り物に乗った。やっぱり恥ずかしかったし、それになんだか、しげちゃんに申し訳ないような気がしたからだ。
コスモワールドで遊んだ私たちはのんびり歩きながら駅に向かい、その日はそのまま駅で別れた。
電車の中で興奮が冷めやらなかった私は、スマホのメモ帳にその日にしたこと、楽しかったことを記録した。誰かに言うにしては浮かれすぎていたし、けれど記憶の中にとどめておくだけではいつか消えてしまいそうで、何か形に残しておきたかったのだ。
指先を動かしながら、「今日のしげちゃんは、恋愛とか告白とか、そんなことはこれっぽっちも考えてなさそうだったな」と思った。
けれどそれと同時に、「それでもしげちゃんはとても楽しそうだったし、私もとても楽しかった。“付き合う”とか“恋人”とかそんなこと関係なしに、2人で楽しくいられればそれで幸せじゃないか」と思った。
この時の私はもう、しげきと「付き合う」ことに執着してはいなかった。
ただ好きな人と一緒に楽しい時間を過ごすこと、それだけで幸せだし、全てが満たされていた。この日私は、とてつもなく大きな幸せを味わっていた。
つづく(56話:8年後の未来)
この日のデートのキラキラ感は3年経った今でも忘れられないですし、歴代トップ1位、2位を争う楽しいデートでした。付き合った後もまたこういうキラキラしたデートをしたいですねぇ(笑)
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私は冴えないアニメオタクでしたが、現在は一途で誠実な彼氏がいます。彼はイケメンの部類ですが、浮気の心配や不誠実さは皆無で、徹底的に一途な人です。
どのくらい一途かというと、週末ななおに会いに来るために新幹線の回数券を買ってくれているくらいです。(現在は、東京―京都間での遠距離恋愛をしています)
そんなことを言うと、ななおは元々見た目が良かったんでしょとか、オタクといいながら実は結構モテてたんでしょ、と思うかもしれません。
しかし実際は、20歳くらいまでメイクやファッションのことは何も知らず、好きだった人に「ブス」などと言われるような人間でした。さらにいうと、彼氏とは今でこそ恋人同士ですが、そうなる前に2度振られた経験もあります。
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