こんにちは、ななおです。
前回は5話、夢のお告げでした。
目次はこちらから。
今回は6話です、どうぞ^^
2回目のデート
秋葉原の改札で待ち合わせたしげきは、真っ黄色のアロハシャツと、同じく真っ黄色でアロハ柄のセットの半ズボンを履いていた。そして暑い日だったせいもあって、使い古されたうちわを持ち、足元はビーサンだった。
待ち合わせ場所でしげきのことを見た瞬間、「えっ」と思った。
彼を見た瞬間に引いてしまったのは事実だ。
いくら友達同士とはいえ、女の子とカフェに行くのにその格好かよ、と内心つっこみまくっていた。
そしてそれと同時に、自分がピンクの小花柄のチュニックを着てきたことを後悔した。
もっと落ち着いた色の服を着てくれば良かった…そうすれば全身黄色のアロハシャツと並んでもあまり目立たずに済んだかもしれないのに…そう思っていた。
いずれにしても、まずは一軒目の「戦国喫茶」に行った。そこは普通のメイド喫茶とは少し違って、囚われの身となった戦国時代の各家のお姫様が給仕をしてくれる、というコンセプトだった。
「お帰りなさいませ、お殿様、お姫様!」
という掛け声と共に和風な格好をしたメイドさんが出てきてくれる。
ガールズバーとは違って店内は明るく、コンセプトもしっかりしているので話のネタがあり、しげきも臆せずに囚われの姫君(設定)と話すことができていた。
「それ、じんべえですか?」
ふとした会話の途中で囚われの姫君(設定)がしげきの服装を見て、少し訝しげに聞く。
すると、
「違いますよ、アロハシャツですよ!」
なぜかちょっと不満そうにしげきが反論する。
「あ、アロハシャツ…」
不満げに返されて困った顔をする姫君。私は姫君に同情した。
上下真っ黄色のセットを着ていたらそりゃあじんべえにも見えるはずだ。
というか、連れが突っ込まざるを得ないような服装をしているという事実がなによりも恥ずかしかった。
戦国喫茶を十分に楽しんだあと、二軒目のツンデレ喫茶に行った。
そこはツンデレは一つのコースとして設定してあって、それを頼めばお姉さんがツンデレな態度を取ってくれるというものだった。
「メニュー何にしますか?」
ツインテールのお姉さんがオーダーを取りに来てくれ、ついでに少し雑談をする。
「てかそれ、じんべえですか?」
そしてここでも、やはりあの質問がされる。同伴者としては恥ずかしくて仕方がない。
「違いますって、アロハシャツです!」
2回も同じことを聞かれて切れ気味のしげきが反論する。
どう見たってアロハシャツだろ!とでも言いたげなしげきの反応の方が明らかにマイノリティだと思った。
お姉さんがふ~んという冷めた反応を返してから、ツンデレコースが始まった。
「ツンデレ、どうだった?」
お会計を済ませて店を出て、前を歩くアロハシャツに聞く。
「ん~、なんか、違う!ツンデレってもっとこう、違うと思うんだよな。彼女はきっと、もっとできたと思うよ」
偉い批評家の先生であるかのように、上下黄色のアロハシャツが言う。
「そうだね~。私もあれはツンデレとは違うと思った。上手く言えないけど、ちょっと違かったね」
そんな話をしながらアニメ専門店にたどり着き、私は迷わず男性同士の恋愛のフロアに向った。
しげきのことは好きだったけれども、自分がこういう趣味を持っていることを隠そうとは思わなかったし、好きな相手ならなおさら、自分の素の姿を見せた方が良いと思った。
しげきはそんな私に引くでもなく、嫌だったら違うフロアにいてもいいよと言った私に対し、なぜか「なめんなよ!」と息巻いて私の後をついてきた。
そして私がマンガを物色している間、彼も隣で「これ良いんじゃない?」などと、BLマンガを物色していたのだった。
今から思えば女性しかいないBLのフロアに、上下黄色のアロハシャツの男子大学生がいるのは、とても奇妙な図だっただろうと思う。
店を出てからは近くのファミレスに向い、安い夕食を取りながらお互いの高校生時代の話をした。話を聞いていると当時の私たちの価値観があまりにも正反対だったから、「高校生の時に出会わなくてよかったね」と言って笑い合った。
その時にはしげきが黄色のアロハシャツを着ていることももう気にならなくなっていて、やっぱり、とても楽しい時間を過ごすことができていた。
私はこのとき完全に、私としげきは上手く行く、と思っていた。
それくらいしげきといる時間はとても自然で楽しくて、2人の距離が確実に近づいているのがよく分かったからだ。
このままいけば、そう遠くないうちに付き合うことになるんじゃないか、そんなことを思っていた時期だった。
つづく(7話:デートに誘われた日)
以上、2回目のデートでした。
この日はやっぱりアロハシャツの印象が強すぎましたね。女の子と2人で出かけるのに上下アロハで揃えてくる人、普通いませんよね?笑
恋愛慣れしていない草食系男子ならもしかしたらいるのかもしれませんが(現にいましたしね)…。
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私は冴えないアニメオタクでしたが、現在は一途で誠実な彼氏がいます。彼はイケメンの部類ですが、浮気の心配や不誠実さは皆無で、徹底的に一途な人です。
どのくらい一途かというと、週末ななおに会いに来るために新幹線の回数券を買ってくれているくらいです。(現在は、東京―京都間での遠距離恋愛をしています)
そんなことを言うと、ななおは元々見た目が良かったんでしょとか、オタクといいながら実は結構モテてたんでしょ、と思うかもしれません。
しかし実際は、20歳くらいまでメイクやファッションのことは何も知らず、好きだった人に「ブス」などと言われるような人間でした。さらにいうと、彼氏とは今でこそ恋人同士ですが、そうなる前に2度振られた経験もあります。
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