草食系男子との3年間⑰:再出発 ~ななお篇~

 

こんにちは、ななおです。

 

前回は16話:絶望から。

目次はこちらから。

 

今回は17話です、どうぞ^^

 

 

再出発

 

 

「私の人生に価値はない。私は死んだのと同じだ」

 

絶望の中にいた私は、じめっとした棺桶のような気持ちの中で9月を過ごした。

そしてそんな時に限って、家族に対する長年の不満も爆発し、家にも居場所がなくなるのだった。

 

本当はもう、大学にも行きたくなかった。日常を送ることも嫌だった。

 

けれどなぜだか、大学を休むことができなかった。そして無理やりでも、しげきのいる部活にも行った。

 

 

しかしそれは自分を余計苦しめることに繋がり、徐々に気持ちのやり場がなくなっていった。

 

 

自分の気持ちを吐き出す場所が欲しかった。

 

 

追い詰められた私は、SNSに自分の気持ちを綴った長文の投稿をし、百合子(部活の同期)に泣きながら電話をした。

 

 

全てが嫌になっていたけれど、心のどこかでは再び立ち直るために、周りの人に助けを求めたかったのだと思う。

 

 

そして私の周囲の人は、私が思っていた以上に、優しい人達だった。

 

 

私からの電話を嫌がることなく受けてくれた百合子は、私が泣き止むまで辛抱強く話を聞いてくれた。

 

 

SNSの投稿を見た人たちは、

 

 

『生きるのが辛いなら、逃げちまえ!それをしないだけお前は強いよ!』

 

『人間なんてか弱いんだから、一抹の泡だと思って、もう少し生きてみよう』

 

 

そんな力強いメッセージを届けてくれた。

中にはそこまで仲良くない人からのメッセージもあった。

 

 

そんな彼らの言葉のエネルギーから、力をもらえたのは確かだった。

そして自分の気持ちを外側に出したことで、少しだけ自分の中が落ち着き始めていた。

 

 

 

 

10月に入っても、相変わらず気持ちは沈んだままだった。

 

しかし、友人たちのエールのおかげか、ほんの少しだけ、以前よりは力が戻ってきていた。

 

そしてある時、ふと気が付いた。

まさに閃きのように、私の頭に降りてきた言葉があった。

 

それは、

 

 

「一度死んだなら、最初からやり直せるということ」

 

 

というものだった。

 

そのことに気が付いたとたん、頭の上の方からパッと光が差したような気がした。

 

そしてもう一度、その言葉を自分の中でかみ砕きながら反芻した。

 

 

「一度死んだのなら、長い間暗闇の中にいた私はもういないということ。つまりそんな自分から抜け出して、もう一度新しい私で人生を作っていけるということ」

 

 

それは私にとって、大きな再スタートだった。

 

 

再スタートの場所は、暗いトンネルの中かもしれない。けれどそこにはもう、過去の私が背負った重い荷物はなかった。

 

どんなに暗いトンネルだって、新しい私が旅をしたら、また違うものに見えてくるかもしれない。

 

 

 

そうして私は振られてから一か月後に、新しく気持ちを入れ替えることができたのだった。

 

 

つづく(18話:自立への一歩

 

この時は友人たちの励まし、そしてそれまでの経験の蓄積のおかげで、思ったよりも早く立ち直ることができました。

どんな時でも、困った時に話を聞いてくれる友人がいるといいなぁと思います。

 

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