草食系男子との3年間⑯:絶望 ~ななお篇~

 

こんにちは、ななおです。

前回は15話:最初の告白でした。

目次はこちらから。

今回は16話です、どうぞ^^

 

絶望

 

しげきに振られた日もその次の日も、涙が出てくることはなかった。「失恋」なんていう言葉に浸って悲劇のヒロインになりきることはできなかった。

 

ただひたすら、8月に一度もデートに行かなかったのが悪かったんだとか、どうしてしげきの好きな人に関して事前にリサーチしなかったんだろうとか、結局しげきは見た目が可愛い人に惚れただけなんだとか、

 

そんなことをグルグルと考えていた。
もちろん、そんなことを考えてもどうすることも出来なかった。

 

頭は余計なことをぐるぐると考える一方で、心の大事な部分は麻痺していて、ひどく精神的に不安定になっていた。日常の些細なことに簡単に心が揺れ動いた。

 

そして、弱った心で頭だけが忙しく働くものだから、どんどんどんどん、ネガティブなことしか考えられなくなった。

 

そしてそのネガティブは、しげきに振られた事実だけでなく、今までの自分の人生に対する不満に引火した。

 

「どうして自分はうまく生きられないんだ?」

 

そう、何度も自問自答した。

 

「どれだけ頑張っても、結局私の人生にいいことなんか起こらないじゃないか」

「今後も一生いいことなんて起こりっこないのに、私の人生にどんな価値があるというんだろう?」

 

中学生以降、私の人生は常に暗いトンネルの中にいるようだった。
(まだお読みでない方は、14話:過去の話をご覧ください)

 

いつも息苦しくて、人生が楽しくなくて、いつもこの世から逃げ出したいと思っていた。

 

けれど、「いつかはきっといいことがある、暗闇の中にも光がある」そう信じて、手探りで、どこにあるかも分からないトンネルの出口を探して歩いていた。

 

そして、しげきに出会った。

 

好きで好きで、しげきのことを考えるときは、私は一瞬「幸せ」を感じられた。

 

暗いトンネルの中に、一筋の光が差していた。

 

しげきの存在は、私の人生における救いの光だった。

 

だから無我夢中でその光を追った。

 

その光があれば、やっと私は幸せになれると思っていた。

 

嬉しかった。
しげきが好きだったし、自分の人生をやっと少し肯定できるようになった矢先だった。

 

 

そして、その結果がこれだ。

しげきは私のことなんて好きではなかった。

 

救いの光だと思ったそれは、ただの悪魔の光だった。

苦しむ囚人に少しだけ光を見せて、期待させて、無我夢中で走らせて、そして最後に、「残念でした」と笑って、囚人を置き去りにしていくのだ。

 

「私の人生にどんな価値があるっていうんだろう」

 

ぼーっとした頭に響くのは、その一念だけだった。

 

「自分はもう、死んだと同じだ」

 

人生に絶望した私は、そんな思いに浸っていた。

 

つづく(17話:再出発)

 

またまた暗い回になってしまいました(^^; けれど、この時は本気で病みましたね。

とはいえ、私は何度も挫折を経験しているので、挫折から立ち上がる力も身に着けてるんです。ですから、この絶望からは思ったよりも早く立ち直ることになります^^

 

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