こんにちは、ななおです^^
前回はこちら、61話:カウントダウンの始まりから。
目次はこちらから。
再び三角関係
2月末、私と恵理は東京武道館にいた。
その日は剣道の4段審査の日で、私は以前同じ審査に落ちていたのでリベンジの日だった。恵理は学年は1個下だけれどとても剣道が上手で、普段から親しくしている後輩でもあった。
当日の朝、毎日のようにラインをしているしげちゃんから
『がんばれよ!』
というラインが届いており、私は良い結果を出せるように頑張ろう、という気になっていた。
会場の控室で着替えていると、スマホをいじっていた恵理がふと、
「ななおさん」
と声をかけた。
「なに?」
何気なく聞き返すと、恵理はほんの少し固い表情で、
「あの、しげきさんからメール来たりしてますか?」
と言った。
すぐに今朝の「がんばれよ」のメールのことだと察し、
「うん、来てたよ」
と言い、きっとしげきは同じ審査を受ける恵理にも同じメールを送ったんだろうと思った。すると恵理は、
「なんだ、そっか、そりゃそうですよね」
そう言って残念そうな顔をすると、そそくさとスマホを荷物にしまい込んだ。
その様子を見て、「なるほど」と思った。
きっと恵理はしげきに気があって、しげきが自分だけにメールをくれたのかもしれないと期待して、それを確認しようとしたのだ。
しげきは本当に誰にでも優しくて、その優しさで女の子を勘違いさせてしまうという、少しやっかいなところがある人だった。
結局その日は私も恵理もいい結果を出せず、2人で落ち込んだテンションで部室まで帰ることになった。
『だめだった・・・』
としげきにメッセージを送ると、
『部室で待ってるから、一緒に帰ろう』
そう言ってくれた。
しげきは偶然用があって大学にいたようだ。そこそこ落ち込んでいた私は、しげきがそばにいてくれると思っただけで、元気が戻ってくるような気がした。
「お疲れ」
部室に入ると、読んでいた本から顔を上げてしげきが言う。
しげきが部室にいる様子を見て、恵理は少し驚いたような顔をした。
「いや~、やっぱ難しいわ」
なんて話をしながら荷物を置き、3人で部屋を出る。
「じゃあ私はここで」
大学の近くに下宿している恵理は部室棟を出るとすぐにそう言った。私としげちゃんは自転車に2人乗りして駅まで帰ったので、恵理を追い越し様に手を振り、2人で遊びにでかけたのだった。
その後、部内に「しげきさんとななおさんは付き合っているのではないか」という噂が流れ、私は恵理に、
「なんでしげきさんのこと好きだって教えてくれなかったんですか!」
と怒られてしまった。
実はしげきはバレンタインの日に恵理からプレゼントをもらっていたらしく、恵理自身、悔しい思いをしていたのだろうと思う。
私がしげきを好きになったときには、ほのかという女の子がしげきのことを好きで、私たちは三角関係だった。そして最近やっとしげきと上手く行き始めたと思ったら、また私たちは三角関係になってしまった。
つくづく恋愛は難しい、そう思ったのだった。
つづく(63話:ちょっとした誘惑)
実はこの時期は、恵理以外にもしげきのことを好きな後輩がいたり、部活外でもしげきを口説いている先輩がいたりして、しげちゃんのモテ期でもありました。そしてそういう女の子達の悔しい想いというのは全て、付き合った彼女=私に負わされるのでした…orz
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私は冴えないアニメオタクでしたが、現在は一途で誠実な彼氏がいます。彼はイケメンの部類ですが、浮気の心配や不誠実さは皆無で、徹底的に一途な人です。
どのくらい一途かというと、週末ななおに会いに来るために新幹線の回数券を買ってくれているくらいです。(現在は、東京―京都間での遠距離恋愛をしています)
そんなことを言うと、ななおは元々見た目が良かったんでしょとか、オタクといいながら実は結構モテてたんでしょ、と思うかもしれません。
しかし実際は、20歳くらいまでメイクやファッションのことは何も知らず、好きだった人に「ブス」などと言われるような人間でした。さらにいうと、彼氏とは今でこそ恋人同士ですが、そうなる前に2度振られた経験もあります。
そんな私ですが、心に余裕を持つことで大逆転を果たし、彼に告白されるまでになりました。
私にもできたのですから、誰でも余裕を持つことで素敵な恋愛ができるはずです。
余裕は身に着けることができます。
単なるアニメオタクが余裕を得てイケメンに告白されるまでの過程を、下記の記事では公開しています。