草食系男子との3年間⑫:告白の準備 ~ななお篇~

 

こんにちは、ななおです。

前回の話はこちら(11話:夏合宿でのこと)から。

目次はこちらから。

今回は12話です、どうぞ^^

 

告白の準備

 

夏合宿が終わって数日後、私としげき、そしてほのかの三人で、夜の浅草を歩いていた。

私達はシマ先輩が掛け持ちしているサンバサークルのイベントに参加していたのだ。そのイベントは毎年8月末に浅草で行われるもので、交通規制があったりするような盛大なものだった。

そしてそれに、しげきは裏方として、私とほのかは人数が足りない踊り子の助っ人として参加したのだった。

(踊り子とは言っても、羽を付けた露出の多いあの役ではありませんw)

 

 

イベントが終わるとサンバサークルの人たちは打ち上げに行ってしまったので、私達は剣道部の面子で集まり、夕食を食べ、その後なんとなくスカイツリーまで歩いてみようということになったのだった。

ほのかはすっかりしげきに対する興味を失ったようで、

 

「こんな夜道を、好きな人と2人で歩いてみたいですよね!」

 

なんて言っては、テンション高く頬を紅潮させていた。

そのときのほのかはきっと、留学先で出会った中国人のことを考えていたのだろう。

 

地図を見るわけでもなく、どこからでも見えるスカイツリーの先端に向って歩いたせいで少し時間はかかったが、それでも私達は目的地にたどり着いた。

お金を払って上の方にまで登るつもりはなかったので、ソラマチ周辺の少し開けたテラスのようなところで腰かけた。

なんとなく、ほのか、私、しげき、の順に座った。

 

根本から見上げるスカイツリーは、バベルの塔のように、にゅっと天空までそびえたっていた。

 

「写真撮ってくるね!」

 

しばらくそこに腰かけて風に吹かれていると、ほのかがそう言って写真を撮りに行った。きっと例の中国人に送ってあげるのだろう。

 

8月末の夜風はいつまでも吹かれていたいくらい、気持ちのよいものだった。

空気の動きに合わせてゆらゆら揺れる木々の動きを眺めているだけで、心が癒されるようだ。

そんな中で、ふと、

 

「江の島行きたいな」

 

そう、しげきが言った。

 

「江の島?」

 

「うん、そう。今年海行ってないなと思って」

 

「なるほど、海か」

 

「うん」

 

その時は、特になにか私から提案することはしなかった。

けれど、「江の島にデートに行き、そこで告白をする」というプランがすぐに頭の中に浮かんできた。

 

 

家に帰ると、

 

『私も江の島行ったことないから、行ってみたい。どうせなら鎌倉もセットで行かない?』

 

というメールをしげきに送った。

いつものように、しげきはすぐに『いいね!』という返事をくれた。

 

そこでやっと、私達の4回目のデートが決まり、9月の一週目に江の島・鎌倉デートに行くことが決まった。

私はその日に向けて、行きたいところや告白しやすそうなスポットを調べ上げ、念入りに準備を整えたのだった。

 

つづく(13話:運命の日

ついにここまでやって来ました・・・!

次回は私が初告白した4回目のデートを書きたいと思います。

 

 

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